トワイライトエクスプレス

Twilight Express







洞爺駅  8002レ  2015.1.27







停車駅





運行開始当初のトワイライトエクスプレスはツアー客向けの団体列車であった。
ゆえに客扱いのある駅は起点と終点のみ、もしくは+α程度だったのではないだろうか。
一般客が利用できるようになって以降、基本的な停車駅の変更は無いようだ。
ただ、単線区間での交換駅などは、ダイヤ改正の度に変動があったかも知れない。
現時点では資料が無く、停車駅の変遷については調べられない状況である。
ここでは晩年のダイヤを前提に、8001、8002両列車の停車駅について解析してみよう。




【停車駅と所在道府県】


大阪 (大阪府)
新大阪(大阪府)
京都 (京都府)
敦賀 (福井県)
福井 (福井県)
金沢 (石川県)
高岡 (富山県)
富山 (富山県)
直江津(新潟県)
長岡 (新潟県)
新津 (新潟県)
洞爺 (北海道)
東室蘭(北海道)
登別 (北海道)
苫小牧(北海道)
南千歳(北海道)
札幌 (北海道)



8001レ、8002レの停車駅は、有効時間帯等にかかわらず共通している。
新潟県の新津と北海道の洞爺との間、8001レが768.3kmを11時間37分、
8002レは781.1kmを12時間4分が通過扱いとなっていた。
この間、客車の扉は乗務員都合と非常時以外は開閉されない。
実際には機関車の交換、機関士の交代などで停車しているが、時刻表上では通過となっている。
この通過距離は、日本の列車史上稀有なものであろう。

トワイライトエクスプレスの停車駅について、とかく話題に上っていたのが函館駅について。
なぜ函館に乗り入れないのか、どうして五稜郭での機関車交換なのか。
これについて考察してみる。





①トワイライトは設定当初『団体専用列車』だった

基本として『大阪と札幌を結ぶ列車』ということが根底にある。
団体列車は例外を除いてA地点からB地点までの輸送が主であり、その経路にある途中駅に関わる必要は無い。
いくら主要都市函館であっても、トワイライトの停車駅として必要とされていなければタダの途中駅でしかない。





②函館駅の構造

函館駅は、かつて連絡船と接続していた頭端式ホーム。
連絡船時代は一部を除いて全ての列車が函館駅始発/終着だったが、
青函トンネル竣工後は本州~道央を相互に直通する列車が設定されたため、当駅で折り返しの作業が必要となった。
機関車牽引の客車列車では、到着後に先頭で解放作業、後方ではこれから牽引する機関車を連結する作業が行われる。
函館駅の場合、これらの列車を発着させるのは、基本的に機回し設備のある1線だけに限定していた模様。
従って同条件の列車が多数設定されている場合、時間的な制約が発生し、遅延時などは余計煩雑となる可能性もある。
客扱いをしないトワイライトエクスプレスがわざわざ函館駅に乗り入れる意味は無く、
余裕のある五稜郭で折り返すダイヤにしたのはごく自然かと思われる。
尚、函館駅始発/終着の客車列車は頭端式の線に発着し、回送は推進で行われたとのこと。





③以前は函館発着の客車列車が多かった…

最盛期には北斗星が3往復、トワイライトエクスプレスと波動輸送用の臨時寝台特急も設定されていた。
加えて函館始発/終着の日本海、快速海峡もあったため、
その当時の函館は客車列車オンパレードの様相を呈していたものと思われる。
前述の条件、その状況を考慮すると、
やはり客扱いをしないトワイライトが函館に乗り入れないのはダイヤ設定上でも正当な判断かも知れない。





④日本海との分担?

大阪~青森間で2往復設定されていた寝台特急日本海は、青函トンネル開通と共に1往復が函館発着となった。
トワイライトエクスプレス=関西~道央
函館発着 日本海=関西~道南
青森発着 日本海=関西~東北
このような役割分担を狙っていたと推測できる。
しかし、日本海廃止後もトワイライトエクスプレスは変化無し。





⑤利用有効時間帯

8002レでは五稜郭が19時台で充分客扱いに適した時間帯だが、
8001レだと早朝5時台なので少し早過ぎるのか…?





⑥自治体との関連?

トワイライトエクスプレスの停車駅が位置する府県、道支庁は…
大阪/京都/福井/石川/富山/新潟/胆振/石狩

運転停車のみ又は無停車は…
滋賀/山形/秋田/青森/渡島

…と、分けることができる。
これは上下列車で共通しており、
8002レでは有効時間帯から外れている新津(4時台)と長岡(5時台)にも停車しているのが不可解。
一般的に、同じ愛称を名乗る列車が上下線で停車駅が異なるのはよくあることだが、トワイライトの場合は全く共通している。
利用有効時間帯よりも駅、自治体との関係があるのかも知れない。





⑦停車駅とJR支社

狭義の条件としてJR本社・支社との絡みも考えられる。
停車駅が所属するJR支社は…
JR西日本=大阪本社 金沢支社
JR東日本=新潟支社
JR北海道=本社
…という具合で、通過駅となっているのはJR東日本秋田支社、JR北海道函館支社の二社。
支社内の特定駅に停車させるという条件があるならば、新津や長岡の早朝停車も理解できなくは無い。





結論

函館に乗り入れない理由がまことしやかにささやかれるのは、
主要駅函館のひとつ手前の駅まで来ておきながら、どうして?…という素朴な疑問が発端だと思われる。
しかし、ダイヤを設定する上では『客扱い無し』という条件であれば、分岐駅での機関車交換、方向転換は当然の流れである。
また、下りカシオペアとトワイライトエクスプレスの運行時刻が接近していることから、
函館での作業内容を考えると、客扱いのない方が五稜郭で作業を行うのは当然とも言えるだろう。










【運転停車駅と理由】



8001


近江舞子 (後続列車の退避)
鯖江   (後続列車の退避)
鶴岡    (対向列車交換)
酒田     (機関士交代)
秋田     (機関士交代)
大久保  (対向列車交換※)
大館        (不明)
弘前        (不明)
津軽新城 (対向列車交換?)
青森(機関車交換・車掌交代)
蟹田        (不明)
五稜郭    (機関車交換)





8002

五稜郭    (機関車交換)
蟹田        (不明)
青森     (機関車交換)
新青森       (不明)
弘前        (不明)
大館        (不明)
秋田     (機関士交代)
酒田     (機関士交代)
越後早川 (対向列車交換?)
芦原温泉 (後続列車の退避)
大津京  (後続列車の退避)





8001レは二度、8002レでは三度、後続の特急列車に道を譲っていた。
これは機関車牽引の客車列車と、電車または気動車の速度差に起因する。
北海道内を走る8002レと、気動車特急の速度差を比較してみよう。





(最高時速の違い)

キハ183系・特急「北斗」=最高速度130km/h
キハ281系・特急「スーパー北斗」=最高速度130km/h
DD51重連牽引・特急「トワイライトエクスプレス」 =最高速度95km/h





(札幌→五稜郭の比較)


5010D スーパー北斗10号

区間・時刻=札幌12:13発~五稜郭15:42着
車両=キハ281系気動車
走行距離=315.3km 所要時間=3時間29分
表定速度=90.5km/h



8002 トワイライトエクスプレス

区間・時刻=札幌14:05発~五稜郭18:44着
車両=DD51重連+24系客車
走行距離=328.1km 所要時間4時間39分
表定速度=70.6km/h



5012D 北斗12号

区間・時刻=札幌14:35発~五稜郭18:13着
車両=キハ183系気動車
走行距離=315.3km 所要時間=3時間38分
表定速度=86.8km/h



最高速度だけではなく、発進加速などでも機関車牽引の列車は気動車や電車に劣る。
『特急が特急を抜く』という事例を直視すると奇異に見られがちだが、
これらの条件等を照合すると、全くもって自然なダイヤ設定だと言えるだろう。
















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