フィリピン
ネグロス島
Negros
Philippines








ヴィクトリアス製糖工場
Victorias Milling Company

(馬車軌道)


撮影日=1981年 3月14日(土)






ロペス製糖工場からの帰り道。
休車ではあったが、念願のシェイを撮ることが出来て大満足だった。
交通不便な場所まで行った甲斐があるというものである。
次に狙うは610mmゲージのヴィクトリアスだ。
既に運搬列車牽引はDLになってしまっているが、入換用として蒸機が残る。
ネグロスの軌道は大半が914mmだから、ナロームードの期待できる610mmを楽しみにしていた。

ロペスから西へ戻り、やがて2フィーターの軌道がチラホラと現れた。
他の工場でも同じだが、製糖工場が接近するにつれて軌道の密度が高くなる。
中には他の工場との境界が分からないくらい軌道が入り混じっている処もあるが、
ヴィクトリアスは希少な超ナローだから一目瞭然である。
そんな軌道をタクシーの車窓から眺めている時であった。

凸凹道に踏切がある。
軌道を渡るなんてザラにあるのだが、なにやら妙な雰囲気であった。
踏切の周辺には人々が集い、お店らしき小屋も出ている。
まるで「駅」だ。
我々はガティアに意思を告げ、タクシーをUターンさせた。
果たして「そこ」は本当に駅だったのである。

人が乗る車両は軌道端に置いてあった。
とても「客車」とは言い難い木製トロッコである。
時が来ると、2~3人がかりで客車を線路に載っけた。
どうやら「列車」が出発するらしい。
そして「機関車」が連結される。
その機関車は、お呼びがかかるまで木につながれて草を食んでいた。
手綱をひかれ、トロッコに連結。
機関士はトロッコに乗り、ノッチならぬムチをONした(笑)
機関車の正体は馬。
そう、ここは馬車軌道だったのである。









ぶったまげた…








旅は発見の連続である。
特に周知されていない場所に関しては尚更だ。
当時は現代のように情報が飛び交っているはずもなく、
こんな軌道の存在など「ここ」を訪れた人しか知り得ないものだったに違いない。








ここがターミナル。手前がタクシーで通りがかった道。
売店?食堂? 休憩所のような施設もある。
子供たちも馬の世話などを手伝っていた。
出番が来るまで待機する馬さん。









せっかくガイドがいたのに、この軌道のことをもっと掘り下げるべきだったと後悔している。
軌道はヴィクトリアス製糖会社のもので、沿線住民の便宜を図って馬車を運行しているらしい。
軌道はサトウキビ畑を縫って縦横無尽に敷かれており、馬車はいくつかのルートをたどっていたようだ。
ダイヤがあるのか、トロッコに乗って出発を待つ人々もいた。
今思えば、時刻ではなくてある程度の人数が集まるのを待っていたのかも知れない。









馬の運用って…?








仔馬から大きな体のものまで、ざっと10頭は居ただろうか。
これらの馬をどう使いこなしていたのか、興味の湧くところである。
距離、重さなどで牽かせる馬を選んでいたのだろうか。









ラッシュ時?(笑)








人々が乗るトロッコは木製。
種車は軸距離の短い平トロのようである。
なるべく多くの人が乗れ、更に荷物が積めるような工夫がなされていた。
ただ、荒天時の乗車はかなりキツそうだ。
ひょっとすると天候によっては運休だったのかも知れない。


















先発○○行が発車。次発の××行は側方待機。










南さんが8mmで撮影中。
みんな、のんびりしているなぁ~









この時同行していた南正時さんは、スチールと共に8mmシネも撮影していた。
ネグロス島の蒸気機関車は有名で、撮影に訪れるファンも少なくはなかったが、
この馬車軌道を動画で記録した方というのは、他には皆無ではないかと思う。
帰国後に拝見した、編集後の作品は素晴らしかった。









枕木は914mm軌間と共用だろうか…?








どんなものを売っているのか、何を食べられるのか…
多くの人が集っていた、このターミナル駅のことをもっと知りたい。













どうやらヘソ曲がりの馬らしい…











南洋の島で見た夢軌道…
地元民の足として活躍していたというのが素晴らしい!













サトウキビ畑にさしかかる馬車












なーんにもない原っぱをパカパカ進む。
製糖会社のモーターカーだろうか、馬車は側線に待避した。
途中、いくつもの分岐点がある。












素晴らしい出会いに感謝












満員御礼!











バイバイ!






ここに滞在したのは、ほんの僅かな時間であった。
当時は「いいものを見つけてラッキー!」くらいにしか思っていなかったが、
帰国して時が経つにつれ後悔の念にさいなまれてきた。
これって自分にとって理想的な被写体ではないのか?と。

いつの日か、また行けることあるだろう…
なんて甘い考えでやり過ごしていたものの、その機会を得ることはなかった。
ヴィクトリアス製糖工場は操業を続けているようだが、輸送はすべてトラックに切り替えたそうだ。
風のうわさでは、この馬車軌道も既に見られないとか。
何かが引っ掛かった時、すぐに行動に移さないと後悔することになる。
鉄チャン人生は、これの繰り返しだ。










(^^♪








【 使用機材】


ペンタックスMX



ペンタックスME-Super













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