2014年夏、乗るはずだった『トワイライトエクスプレス』がまさかの運休…(-_-メ)
旅は継続したものの、目的の90%が失われたショックは並ではありませんでした。
しか~し!
色々とあって、再び乗車の機会を得ることが出来ました。
その辺の経緯は拙ブログをご覧ください。
今回は『乗る』ことが目的であり、かなり忙しいスケジュールです。
せっかく北海道まで行くのに、札幌での滞在時間は12時間だけ…
これでは撮影もままなりません。
が、それでも『行く価値がある!』と判断しました。
ボクらにとって最初で最後の『トワイライトエクスプレス』。
そして日本最後の急行列車である『はまなす』。
この二つの列車を堪能して来ました。
大阪駅10番線に進入する8001レ『トワイライトエクスプレス』です。
トワイライト色のEF81は全部で5両。
『トワイライトエクスプレス』は、平成元年夏に団体専用列車として登場。
その冬に臨時列車化され、一般客も利用できるようになりました。
運転日は基本的に大阪発は月、水、金、土曜日、札幌発は火、木、土、日曜日です。
多客期間には毎日運行となり、その際は保有する三編成全てが運用されます。
豪華なA個室スイートが2室、ロイヤルが8室ある他、
B個室ツインが23室、シングルツインが12室と、個室寝台が充実しています。
昔ながらのB寝台開放タイプも、通路側に仕切壁と扉が設置された簡易個室。
その名もBコンパートメントで、通常のB寝台車より若干グレードアップされています。
内装は木目調に、室内灯は電球色に統一され、ゴージャスな雰囲気だと感じました。
『ダイナープレヤデス』と名付けられた食堂車では、朝昼夜の食事が提供されます。
隣のラウンジカー『サロン・デュ・ノール』は開放感のある大窓が特徴。
ここから眺める夕暮れ、日の出時間帯、薄明の風景が売り物であり、
『トワイライトエクスプレス』の列車名の由来ともなっています。
(画像元:愛称別トレインマーク事典様)
8001レ 大阪 ⇒ 青森 停車駅時刻表 (※=運転停車)
大阪 | 11:11 30 11:50 00 |
金沢 | 15:37 00 15:40 00 |
酒田※ | 22:16 30 22:18 30 |
新大阪 | 11:55 00 11:56 00 |
高岡 | 16:14 15 16:14 45 |
秋田※ | 23:47 00 23:56 30 |
京都 | 12:24 00 12:25 00 |
富山 | 16:30 30 16:32 00 |
大久保※ | 0:14 30 0:18 00 |
近江舞子※ | 12:59 00 13:04 00 |
直江津 | 17:56 45 18:06 45 |
大館※ | 1:26 15 1:27 15 |
敦賀 | 13:46 45 13:48 45 |
長岡 | 19:02 30 19:04 30 |
弘前※ | 2:02 45 2:03 45 |
鯖江※ | 14:22 30 14:28 00 |
新津 | 19:43 00 19:45 00 |
津軽新城※ | 2:30 15 2:34 15 |
福井 | 14:39 50 14:40 35 |
鶴岡※ | 21:48 30 21:52 30 |
青森※ | 2:42 15 2:55 00 |
【大阪~青森間 牽引機関車】
EF81型電気機関車(敦賀運転センター所属)
【運転機関士】
宮原(操) → 敦賀=大阪電車区 敦賀 → 金沢=金沢列車区
金沢 → 直江津=金沢列車区 直江津 → 新津=直江津運輸区
新津 → 酒田=新津運輸区 酒田 → 秋田=秋田運転区
秋田 → 青森=大館運転区
【青森~五稜郭間 牽引機関車】
ED79型電気機関車(青函派出所所属)
【北海道内での停車駅】
五稜郭※ 洞爺 東室蘭 登別 苫小牧 南千歳 札幌
【五稜郭~札幌間 牽引機関車】
DD51型ディーゼル機関車 重連(函館運輸所所属)
(画像元:愛称別トレインマーク事典様)
≪主な車両≫
カニ24形電源荷物車 (列車内に電気を供給する車両)
8号車 オハネ25形560番台 B寝台車 (Bコンパートメント)
7号車 オハネ25形510番台 B個室寝台車 (ツイン&ミニロビー)
6号車 オハネ25形520番台 B個室寝台車 (ツイン&シングルツイン)
4号車 オハ25形550番台 ラウンジカー (サロン・デュ・ノール)
3号車 スシ24形 食堂車 (ダイナープレヤデス)
2号車 スロネ25形500番台 A個室寝台車 (スイート&ロイヤル)
1号車 スロネフ25形500番台 A個室寝台車 (スイート展望&ロイヤル)
『トワイライトエクスプレス』は大阪と札幌の間、約1500kmを結んでいます。
所要時間は凡そ22時間。
距離、時間共に日本最長の列車です。
なにかとスピードアップが求められる時世で、この列車がもたらす価値とは如何なるものなのでしょうか。
そもそも夜行列車とは、長距離を移動するため必然的に設定されました。
限られた速度で長距離を運行する場合、昼の時間帯だけでは到達出来ません。
逆に人が活動しない深夜帯に移動することにより、
乗客は有効時間帯を効率的に利用できるというメリットが発生します。
寝ている間に移動し、朝には目的地に着くのですから、とても便利な乗り物だった訳です。
かつて輸送の主力が鉄道だった時代、ある程度以上の距離を移動するのは夜行列車が常識でした。
しかし、新幹線や航空機の発達によって、事情は大きく変わりました。
長距離をより短い時間で移動したいというニーズが、夜行列車と合致しなくなったのです。
利用客の減少~廃止を繰り返し、夜行列車は減少してゆきました。
そんな状況で一矢を報いたのが『北斗星』、『トワイライトエクスプレス』の登場でした。
昭和63年、青函トンネルの開業によって本州~北海道が直通できるようになり、
その恩恵を受けて上野~札幌間に『北斗星』がデビューしました。
『交通機関としての夜行列車』という概念ではなく、『移動を楽しむ列車』です。
『北斗星』は好評で、三往復の定期運行と、多数の臨時列車も運転されました。
更に元祖クルーズトレイン設計の夢空間編成を併結したり、華やかな時代が続きました。
様々な手段で利用客を呼び込もうとしていたのでしょう。
そのコンセプトが、平成11年に登場した次世代寝台列車『カシオペア』に繋がっています。
しかし、この頃から『北斗星』には陰りが見え始めました。
減便が続いて一往復になり、臨時列車の設定も無くなって現在に至っています。
一方の『トワイライトエクスプレス』は、平成元年に運行開始。
登場以来25年間大きな変化はなく、堅実に運行を続けてきました。
他の列車と決定的に違うのは、『コンセプトがしっかりとしている』ということだと思います。
薄明の日本海=それに対応した大窓のラウンジカー
最上のサービスを提供=もてなしの心を大切にしているクルー
恐らく他にもあるでしょう…
また車掌による沿線案内、サロンでのイベントなど
乗客を飽きさせない、楽しませる、この辺には抜かりがありません。
乗った瞬間から旅が始まる。
記憶に残る旅には、記憶に残る出会いがある。
これは『トワイライトエクスプレス』HPトップに掲載されているフレーズです。
まさにその通り!
『トワイライトエクスプレス』そのものが旅なのです。
ただの移動手段ではない、乗ること自体に意義がある、そんな列車だと思います。
航空機よりも13倍かかる所要時間、LCCよりも5倍高い運賃、
それでも人は『トワイライトエクスプレス』を求めているのです。
(画像元:愛称別トレインマーク事典様)
至高の旅が始まります…
11時11分、大阪駅10番線に『トワイライトエクスプレス』が進入して来ました。
カラフルな電車が頻繁に行き交う構内が、ひととき厳かな雰囲気に変わります。
重厚な深緑の車体からは、この列車は特別な存在なのだというオーラを感じました。
静々とホームに横付けされると、即座に乗客やギャラリーが取り巻きます。
これから乗る人、ただ見に来た人、誰もが憧憬の眼差しを送っています。
堂々たる風格で人々を魅了する列車。 | |
車体のエンブレムも、高尚なムードを漂わせています。 | |
ヘッドマークは、夕暮れの日本海とスウィートエンジェル。 |
ボクらの席はBコンパートメント。
『トワイライトエクスプレス』でB寝台というのは、いささかショボイ?
いえいえ、5人家族で利用するとなると、意外にも一番快適だったりします。
『北斗星』で個室ふたつという経験がありますが、
部屋を行き来するならば、Bコンの方が逆に落ち着くんですよ。
ロイヤル、スイートでも利用するのなら、話は別ですけれどね(笑)
11:50定刻に発車。
車内には『いい日旅立ち~西へ』のメロディが流れました。
おおっ!これが話に聞いたトワイライトの出発案内かっ!
俄然気分が盛り上がってきます。
\(^o^)/
トワイライトエクスプレスの路
大阪駅を発車すると、早くも争奪戦が開始されます。
それはシャワーカード!
シャワーは二室あり、30分単位で利用カードが販売されます。
販売枚数が限られているため、当然のことながら競争になるのです。
ぼやぼやしていると、深夜とか翌日の利用になってしまうので…
カミさんが早くから並んだため、ほぼ希望時間帯のが購入できました(*^^)v
サロン・デュ・ノール
準備中のダイナープレヤデス
『トワイライトエクスプレス』札幌行きでは、食堂車のランチタイムがあります。
かつて、特急列車に食堂車が連結されているのは常識でした。
撮影旅の行程で特急に乗れば、当たり前のように食堂車を利用していたものです。
なのに、どんどん事情は変わってしまいました。
現在では『北斗星』と『トワイライトエクスプレス』だけが食堂車を連結しています。
そして、お昼ごはんを食べられるのは、唯一『トワイライトエクスプレス』だけなのです。
上り『トワイライトエクスプレス』は札幌を14時過ぎの発車で、
昼食時間帯を外れているためティータイムとして営業しているとか。
なので、下り『トワイライトエクスプレス』のランチは超希少な体験です。
ボクたちもモチロン利用しました。
混雑すると聞いていたので、早めに並んで一等賞\(^o^)/
贅沢な時間を過ごしてまいりました~
初ダイナープレヤデス体験(^O^)/ |
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テーブルランプとカーテン。 ❤Marippe撮影❤ |
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ランチメニュー。 | |
美味しくいただきました。 |
超いい感じ!
ダイナープレヤデスのクルーは大変応対が良く、ゆとりが感じられます。
調理スタッフも多く、活気もありました。
食堂車で昼食をいただくこと、もう最後になってしまうかも知れません。
とても良い思い出になりました。
部屋に戻ると、クルーの方が朝食の予約伺いに来ました。
ボクらがランチタイムを楽しんでいる間に予約が埋まり、
なんと6:00~しか空いていないとのこと。
ちょっと早過ぎますが、まあ仕方がありません。
食堂車でのモーニングも必須なので(笑)、喜んで予約しました(*^^)v
シャワーカードと朝食予約券
さて、『トワイライトエクスプレス』の車内で気に入ったこと。
それは頻繁に放送される車窓、沿線ガイドです。
停車駅の町、沿線の名所旧跡など、車掌さんが車内放送で案内をしてくれます。
車内販売の『旅のしおり』と合わせると、子供たちの勉強にもなりますね。
当の子供らはスタンプだぁ~、車内探検だぁ~ってな具合でしたが…(ーー゛)
陽が短くなったせいで、立山連峰は薄らとシルエットが見えただけでした。
列車名の由来となっている薄明の日本海も望めず…(*_*)
残念と言えば残念ですが、まぁそれなりに楽しんでいました。
機関士交代のため、直江津では10分間の停車です。
JR西日本と東日本の境目、直江津駅は17:56着の18:06発。
10分停車なので、余裕で撮影出来ると思っていました。
しか~し!
少し遅れ、到着したのは18:00寸前でした。
オマケに対向ホームでは、明らかに撮影に適さない場所に先客が陣取り…(--〆)
近頃よく見かける『にわか撮り鉄』のようです。
ボクらの常識では考えられない行動をするので、見る度に呆れています。
まっ、基本早い者勝ちなので文句は言えませんが…
お陰で不気味な影が写った、間抜けな写真になってしまいました(T_T)/~~~
いずれ修正で消してやろうと思っています…(ーー;)
ちなみにこの日、8001レ乗客で対向ホームに繰り出したのはボクだけでした。
発車1分前…
シャワーを浴びた後、撮影に出たせいで体が冷えてしまいました(・_・;)
ビールを一気飲みし(笑)元気を取り戻し、夕食にしました。
(^O^)/
夕食は『トワイライト特製二段重』です。
これをふたつ、皆で分け合って食べました。
事前にインターネットで予約すると、部屋まで届けてくれます。
なかなか良いシステムだと思いました。
これで1850円は少し高いかな~?と思いましたが、
食べてみると美味しいし、量もそこそこあるし、大満足でした。
夕食を軽くしたのはパブタイム対策です(笑)
ディナータイムが終了後、21時から予約なしで利用できるパブタイムが始まります。
ランチと同様に楽しみにしていました。
が、その前にサロンカーで何やらイベントが…
ランチ待ちの際に知りあった方からの情報で、午後にクイズ大会?が催されたとか。
そして夜にも開催されるようだと聞いていました。
更に夕食後、19:30頃からやるらしいとの情報をキャッチ。
これはパブの前に行かねば!ということで参加しました。
たくさんの『お宝』が!
クイズは『トワイライトエクスプレス』に纏わる問題が出されました。
正解者にプレゼントされる賞品が素晴らしい!
車掌用時刻表、鉄道電報、異常時時刻表などなど…
501M『きたぐに』や4001レ『日本海』もあり、注目を浴びていました。
勿論『トワイライトエクスプレス』のもありましたよ~
車掌さんが
『くれぐれもネットには流さないように!』
と仰っていたのがウケました。
戦利品(*^^)v
残念ながら時刻表はもらえませんでしたが、いい記念になりました!
ありがとうございました!
そして…
パブタイム開始!
メニュー表紙
夜食にしちゃあ重いか?(笑)
(^O^)/
約1時間程のパブタイムを楽しみました。
昼からビールを呑み続けていたこともあり、少々眠気が…
でも、なんだか勿体なくてサロン・デュ・ノールで夜の車窓を眺めていました。
いい雰囲気です(^^)/
トワイライトエクスプレス…
なんとも贅沢な旅ですね。
金銭に関わる贅沢ではなく、心が豊かになると言うか。
ゆったりとした時間経過に身を委ねていると、
日常の喧騒が吹き飛んでしまいます。
心の洗濯って、こういうことなんでしょうね。
23時過ぎに就寝し、良く眠って目覚めると五稜郭の手前でした。
すっかり雪景色の構内にユサユサと進入して停車。
ここでED79型電気機関車からDD51型ディーゼル機関車へバトンタッチです。
そう言えば、EF81からED79に替わった青森駅は完全に夢の中でした…(*_*)
ドアの開かない運転停車です。
なので機関車交換の様子は、車内で気配を感じ取るしかありません。
先頭でED79が放され、最後部にDD51重連が連結されます。
青森駅に続き、ここで再び進行方向が変わるのです。
DD51の連結は至って静か、ほんの少し感じただけでした。
夜明け前の北海道。
その幻想的な風景が車窓を飾ります。
眠い目をこすりながら、ボーっと眺めるのも汽車旅の醍醐味。
何気ない、こんな瞬間に『旅に出ていること』を実感します。
未だ身体が目覚めてはいないのですが、三たび食堂車へ向かいます。
ボクたちは6時から朝食の予約をしてありました。
朝食は時間帯に区切られて供されるため、のんびりと食べる訳にはゆきません。
与えられる時間は30分のみです。
先付け・ドリンク・茹で卵…
前日、ビールを10数本呑んだ胃は疲れていて、正直まだ食欲はなかったのですが、
食前ドリンクとお粥をいただくと、あ~ら不思議!
元気の無かった胃が活動をはじめ、食欲が湧いてきました。
この食事は乗る人の健康を考慮しているのでしょう。
長い時間列車内で呑み食いし、その上運動不足となれば身体は疲弊します。
朝食で活力を取り戻そうという寸法なのか、なかなかニクい献立&調理です。
メインディッシュ ❤Marippe撮影❤
あまりにも印象的な朝食でしたので、メニューを写したものを記しておきます。
【ダイナープレヤデス・ブレックファースト】
《食前のドリンク》
オレンジビネガーエード
スパイスウォーター・シロップ・オレンジジュース・白ワインビネガー
カットオレンジ・カットレモン・ミント・スライス生姜・フランボワーズ
《先付け3種》
カポナータ(茄子・胡瓜・パプリカのマリネ・イタリア風甘酢トマトソース
海老とアボカドのカクテル
フォッカッチャ
《「丹波のたまご」の半熟3分ボイルと花の塩》
《生姜とタイムのミニお粥》
白粥(中華粥にタイム・ローリエ・丁子・生姜)
薬味として(卸し生姜・タイム・クリスピーベーコン)
《ミート&サラダ&ホットベジタブル》
白いんげんとベーコンのトマト煮
自家製チキンナゲットとフレンチマスタード&ケチャップ
ハートロメインとバルサミコのドレッシング&グラナパルメザンパウダー
アンディーブと角切りポテトサラダ
茹でたて緑黄色(青梗菜・カボチャ・有機人参)
薄切りハムと種入りマスタードとパン ド カンパーニュ
《フルーツ&フロマージュブランのスープ》
ハネージュメロンとパイナップル
フランス ノルマンディー産フロマージュブランのスープを少し
《オリジナルモーニングブレンド》
サントス40%(フルシティ)・モカ30%(シティ)・グァテマラ30%(シティ)
青函の主として君臨したED79。 だが、その役目を終える日も近い… |
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電光表示板とカーペットカー。 | |
ハマナスは北海道の道花。 | |
静寂に包まれた深夜のホーム。 |
『はまなす』のオリジナルエンブレム。 このスハネフ14は特別汚れていて、ちょっと可哀想な気がしました。 |
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ED79はED75からの改造機。 車歴は古い機体で40年前後になります。 |