加悦鉄道


丹後山田~
加悦間 5.7km
1067mm軌間 非電化







《歴史》

大正14年
加悦鉄道 創立


大正15年
丹後山田~加悦間 開業


昭和15年
加悦~大江山鉱山間 2.8km開業
ニッケル鉱石の輸送開始


昭和17年
丹後山田~岩滝工場
間 4.5km開業
※=後の日本治金工業大江工場


昭和20年
大江山鉱山閉山
加悦~大江山鉱山間 運行休止


昭和60年
国鉄宮津線の貨物営業廃止に伴い全線廃止







《概要》

丹後地方では、古来より絹の生産が行われていました。
享保5年(1720年)、京都西陣での縮緬技術が丹後地方にも導入されます。
加悦谷でも享保7年から縮緬生産が盛んとなり、
由来の紬技術が幸いして、丹後随一の産業にまで発展してゆきました。
その発展ぶりは、本場の西陣を脅かすほどだったとも伝えられています。

明治から大正にかけて、延びゆく産業の追い風となったのが鉄道でした。
特産物を鉄道で輸送することにより、更なる発展へと繋がってゆきます。
鉄道建設案が地元に舞いこむと、有力者たちはこぞって誘致運動に精を出しました。
丹後地方でも、それは同じだったようです。

大正初期の鉄道敷設法に、以下の項目が記されています。
” 京都府山田ヨリ兵庫県出石ヲ経テ豊岡ニ至ル鉄道 ”
通称「山豊線」と呼ばれたようですが、経路上に加悦も含まれていました。
しかし、関東大震災によって状況は一変し、この計画は白紙となったそうです。
加悦谷では鉄道を熱望していたこともあり、
「官鉄がダメならば自分たちで!」
と発起し、800名以上の出資者を募り、加悦鉄道の創立に至りました。
縮緬産業で富を得た有力な商家たちの資金により、待望の鉄道が開通したのです。

昭和に入ると、加悦近郊にあった大江山鉱山が操業を開始し、
加悦~大江山鉱山間の貨物線が開通。
丹後山田から4km程先には精錬工場が竣工し、鉱石輸送にも一役買いました。
鉱山での採掘は戦後間もなく休止となりましたが、
精錬所は輸入鉱石を受け入れし、存続していました。

いつしか丹後縮緬の輸送はトラックにとって代わられ、
加悦鉄道は典型的な盲腸ローカル線として細々と営業を続けていました。
全国的に地方鉄道輸送が衰退してゆく中、加悦鉄道も苦戦を強いられていたようです。
そんな加悦鉄道でしたが、旧い車両を大切にし続けていました。
とっくの昔に博物館入りしているはずの車両たち、
それらを屋外で保管することは並大抵のことではありません。
特に明治7年、英国ロバート・スチーブンソン製の2号機は大変貴重な存在です。
晩年まで客車改造のキハ08が活躍したことも、特筆すべきことでしょう。

加悦鉄道の運命を絶ったのは、国鉄の貨物列車廃止でした。
当時、地方路線の貨物列車は合理化の対象として整理されつつあり、
加悦鉄道が接続する宮津線でも貨物営業の廃止が決定。
これにより丹後山田から大江工場までの日本冶金工業専用線は用途を失いました。
加悦鉄道の鉄道収入のうち、日本冶金専用線の業務委託料が6割を占めていたことから、
今後の赤字幅が大幅に増大することが見込まれ、路線廃止を決めたという経緯のようです。

廃止後、有志が集まって車両の保存活動を続けています。

特定非営利活動法人 加悦鐡道保存会

加悦SL広場


是非とも運転路線の延長、可能であれば丹後山田~加悦間の復活を望みます。










《昭和53年当時の主な在籍車両》


キハ08-3
もと鉄道省ナハ22459 ~ 国鉄オハ62 130 ~
昭和37年 国鉄盛岡工場にて気動車化改造~
キハ40 3 ~ キハ08 3
昭和49年 国鉄より転入



キハ101
昭和11年 日本車輛製
自社発注の片ボギー車
平成16年 動態保存復元



キハユニ51
昭和11年 日本車輛製
もと芸備鉄道キハユニ18 ~
舟木鉄道 ~ 昭和37年転入~
荷室撤去でキハ51となる
平成 6年 キハユニ51に復元



DB201
昭和28年 森製作所製
平成11年 動態保存復元



DD352
昭和49年 川崎重工製
日本冶金専用線にて運用
加悦~丹後山田間は単機で回送




明治 7年 ロバート・スチーブンソン製
もと鉄道院 16 ~ 鉄道院 12 ~ 鉄道院 123 ~
簸上鉄道 2 ~ 大正15年転入 ~ 加悦鉄道 2
昭和31年引退 ~




大正11年 川崎造船所兵庫工場製
もと河東鉄道 3 ~昭和9年転入 ~ 加悦鉄道 4
昭和42年引退 ~



1261
大正12年 日本車輛製
もと簸上鉄道 6 ~ 鉄道省1261 ~
昭和18年転入 ~ 加悦鉄道1261
昭和42年引退 ~








【訪問日】



昭和53年 2月 15日/1


昭和53年 2月 15日/2











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