トワイライトエクスプレス

Twilight Express







北陸本線 敦賀駅  8002レ  2015.1.28










牽引機関車





長距離を走る列車の場合、経路の条件によって牽引する機関車を交換してゆくという特徴がある。
電化、非電化、また電化方式の相違などが主な理由だ。
また、急勾配区間では1両の機関車では力不足になるため、補助機関車を連結することもあった。
碓氷峠、上越国境、セノハチなどが代表的な所である。
しかし、このような行程を踏む客車による長距離列車は激減した。
かつては当たり前のように行われていた列車の機関車交換であるが、
近い将来には貨物列車だけでしか見られなくなるだろう。
トワイライトエクスプレスでは、三形式の機関車が使われていた。
大阪~青森間はEF81形、青森~五稜郭間はED79形、そして五稜郭~札幌間はDD51形が担当した。
それらの形式についてご紹介しよう。








【EF81形交直流両用電気機関車】




EF81 114  ♥Marippe撮影♥







EF81 103  ♥Marippe撮影♥



EF81形は、北陸本線、信越本線、羽越本線に於いて、
直流、交流50Hzと60Hzの電化区間を直通できる電気機関車として開発された。
日本海縦貫線を走るために誕生した機関車としても過言ではない。
昭和43年から54年にかけて164両が製造されて、平成4年に最初の廃車が発生するまで全機が活躍を続けた。
加えてJR化後の平成元年からは8両が追加製作されていることから、この形式の優秀さが窺える。
しかし新鋭機のEF510形やEH500形が導入されると、それらの増備によって減少の一途をたどっている。
特に花形であった特急列車牽引では、『北斗星』『カシオペア』のEF510置き換え、
『あけぼの』の廃止によって活躍の場が狭まり、『トワイライトエクスプレス』が最後の特急旅客運用となっていた。
トワイライトエクスプレスの運用にあたるEF81は、敦賀地域鉄道部敦賀運転センターに所属し、
客車と同じ塗色に変更するなど、専用機としての改造工事を受けている。
運行開始時の平成元年には、103、104、113、114号機がトワイライト色になり、
第三編成落成時には43、44号機が加わって6両での体制となった。
実際の運用では『トワイライトエクスプレス』だけではなく、『日本海』や『つるぎ』も牽引していた。
逆に原色のEF81がトワイライトを牽引することは無かったようだ。
その後、『つるぎ』『日本海』の廃止によって運用が減少して104号機が廃車となった。
2015年11月現在、トワイライト色のEF81では104号機が唯一の廃車処分である。
平成27年3月12日、大阪発の8001レ最終列車はEF81 43が牽引した。
帰路は途中区間が第三セクター化されたことで自走できず、客車と共にJR貨物のEF510形に牽かれて回送されている。
同日の8002レは、青森~敦賀をEF81 113が、敦賀~大阪間をEF81 44が牽引して有終の美を飾った。
トワイライトエクスプレス廃止後、EF81 103は京都鉄道博物館での展示準備で梅小路に送られ、
残る4両は特別なトワイライトエクスプレスなどの臨客、工事臨時列車などの運用をこなしている。

















【ED79形交流電気機関車】




ED79 4 (北斗星牽引機)  ♥Marippe撮影♥



青函トンネル専用機関車として、昭和61年から製造した交流電気機関車である。
余剰となった34両のED75形を種車に、海底トンネルに対応した諸改造が施された。
また、平成元年には貨物運用増強のため10両が新製されている。
トワイラトエクスプレスの牽引にあたっていたのは、函館運転所青函派出所に所属していたED79形基本番台だ。
他の列車と違い、牽引区間で客扱いがないため、ヘッドマークの掲出がされていなかった。
かつては旅客運用が多かったED79ではあるが、快速「海峡」の廃止、夜行列車の衰退などで活躍の場は減少の一途をたどっている。
また、貨物運用でもEH500形、EH800形の導入によって淘汰されつつある。
更に北海道新幹線開業時には、電圧上昇と保安装置変更によって走行不可能となるため全運用から退く予定だ。
30年間に渡って青函トンネルの主として活躍してきた当形式は、
夜行列車の終焉と共にその運命を絶たれることとなる。













【DD51形ディーゼル機関車】




DD51 1100



蒸気機関車の代替機として、昭和37年から量産された液体式ディーゼル機関車である。
高性能で汎用性が高く、四国を除く全国に普及して活躍した。
しかし電化区間の増加、非電化区間での旅客気動車化、貨物の減少などにより
昭和60年代からDD51の運用は減少し続けている。
また、貨物運用が多かった北海道でも、新型のDF200形の投入によって主役の座を奪われつつある。
トワイラトエクスプレスを牽引したのは、函館運転所所属のDD51形全重連型だ。
機体は北斗星の客車に準じた塗色に変更されている。
この機体色は北斗星の運行開始と共に施されたものであり、本来は『北斗星専用機』であった。
北斗星はJR東日本と北海道が所有する客車によって運行されていたため、
JR北海道としても専用カラーの機関車を用意することは自然な流れだったものと思われる。
特急ではトワイライトエクスプレス、北斗星、カシオペアを重連で牽いていた。
急行「はまなす」も共通運用、こちらは単機牽引であった。
特急牽引では単機でも定数を上回ってはいないが、遅延時などの余力としての重連運用だったらしい。
「はまなす」は多客期に12両編成となる日があるものの、単機牽引は変わらなかった。
平成27年夏に北斗星が廃止となったが、所以の機体色だけがDD51たちに残されている。







【特別なトワイライトエクスプレス牽引機】





DD51 1186   ♥Marippe撮影♥



大阪~札幌間のトワイライトエクスプレスが終了し、
平成27年5月以降は『特別なトワイライトエクスプレス』としての運行が開始された。
運行経路は大別して三種類あり、東海道本線、北陸本線、湖西線、山陽本線、伯備線、山陰本線を走る。
牽引機は敦賀のEF81、下関のEF65PF、後藤のDD51が充当された。
このうちEF81は、大阪~札幌時代に牽引を担当していたトワイライト色である。
またEF65、DD51共に、過去に団体臨時として運行された際に牽引した実績があった。
各形式の牽引担当区間は以下の通りである。


≪EF81≫
大阪~米原~敦賀~京都

≪EF65≫
山陽ルート=京都~下関
山陰ルート=大阪~瀬戸

≪DD51≫
瀬戸~倉敷~米子~下関
(瀬戸~米子間は重連)


平成27年11月、EF65 1124がトワイライト色に塗装変更された。
特別なトワイライトエクスプレス運行開始から半年での塗色変更は不可解で、
尚且つカニ24が検査を受けたとの情報もあり、平成28年春以降も存続するのではないかという噂が流れた。
しかしEF65の塗色変更は、事前に全般検査の11月に施されることが予め決まっていたそうだ。
平成27年末から28年春にかけての運行計画と同時に、3月22日大阪着を最後に運行終了との発表がされた。
正式なアナウンスは未だないが、客車の検査期間中は別ルートの団臨として運行されるという説もある。




















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