Vol,2 永遠の嘘をついてくれ
昭和57年10月 寒谷
『世の中変わった』
なんて、語りつくされた言葉だけど、ホントにそう思う。
厳密に言えば『変わった』よりも、『変になった』の方が適切かも知れない。
世間には本当に自分勝手な人々が増殖した。
日本人は優れた道徳観を持っていたはずなのに、最近ではそれも疑わしい。
普段の行いを棚に上げ、自分の権利ばかりを主張する人も増えた気がする。
なんでだろ?
会社の大小にかかわらず、企業はコンプライアンスにがんじがらめ。
それって簡単に考えれば、法律に触れないようにするだけなんだけれど、
なんだか方向が違っているみたい。
法に縛りつけられていれば、人は安全な方を選択するだろう。
だが、それが相手の安全を思ってではなく、
自らのポスト、将来の安泰を考えていたのなら本末転倒。
そこに見えてくるのは、リスク回避~保身でしかないからだ。
この世情と道徳観の低下とは関連があるのだろうか。
抑圧することでしか管理は出来ないのだろうか。
現在の立山砂防軌道は、一般社会とは完全にシャットダウンされた。
ボクらにしてみればショックなのだが、それはトロ鉄の身勝手な考えかも知れない。
現場の安全を最優先するならば、やはり危険は徹底排除したいのだろう。
もはや『自己責任で』なんて時代でもなくなってしまったのだから。
それは判っているんだけれど、また同じ問いかけをしてしまう自分が居る。
人は皆 望む答だけを聞けるまで 尋ね続けてしまうものだから
君よ永遠の嘘をついてくれ いつまでも種明かしをしないでくれ
永遠の嘘をついてくれ 出会わなければよかった軌道など無いと笑ってくれ
ヘッドマークを付けると、 なんだか遊園地の乗り物みたいだ。 |
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崖にへばりつくように進む人車列車。 |
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構内には不似合いの踏切があった。 以前は公道だったようだが、 現在は地下道が開通しており、この踏切の意味は無くなった。 |
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現在のところ最も新しいDLがこれ。 ナンバーは 12-10-8 だ。 平成12年製。 昔から10時発、役所の人車には 比較的新しいDLを使う傾向があった。 |
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構内では信号掛の先導を受けて進む。 |
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軌道を守る人々も世代交代していた。 |
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奥地を目指したいと胸ふくらませていた『あの頃』。 そんな37年前の気持ちを思い出した。 |
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林立する虎ポール。 このシビアな境界が現在の立山砂防を物語るようだ。 この壁を越えられる日は来るのだろうか。 |
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軽やかな足取りで下って来た人車。 |
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機関車の動かし方ひとつにしても『安全第一』が窺える。 |
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秋の気配。 |
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だけど… 現役の軌道って、やっぱり素晴らしい。 |
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車庫から出て来た人車。 何時の間にかコンパートメントみたいなタイプになった。 |
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軌道沿線の樹木も30年の間に育ったのかな? |
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手前は 2-10-190、奥は 12-10-8。 共に北陸重機製の同型ではあるが、 12年製のはキャブが高くなり、屋根の形状が異なっている。 |
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水口建設の安全マネジメント掲示。 Welcomeと書かれているが、 実際には敬遠されているような気がする… |
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あとひと月もすれば紅葉の季節… |
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作業を終えて帰って来た人々。 彼らの日常には軌道が密着している。 |
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最古参の 55-10-45 が元気に活躍していた。 デビュー当時は酒井っぽいボンネット&キャブ、 グリルに前照灯が組み込まれた姿で異彩を放っていた。 現在では他の北陸と見分けがつかないようだ。 |
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山を下りて来た役所の人車。 |
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途中連絡所のオバちゃんたちを乗せた最終列車だ。 | |
31年前の晩秋。 もう薄暗くなった千寿ヶ原に人車が到着した。 この頃、水谷で暮らしていた作業員たちが 日ごと少しずつ山を下りて来ていた。 もうすぐ冬。 軌道も一年の役目を終え、長い休みに入る。 |
【2013年 9月19/20日撮影】
≪2013年 9月時点での在籍車両≫
■ディーゼル機関車■
55-10-45
56-10-21
57-10-28
60-10-14
62-10-94
2-10-190
4-10-201
6-10-15
12-10-8
■モーターカー■
55-10-64
3-10-101
4-10-45
12-10-2
《旅の様子はこちら ↓ で綴っています…》
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